ナイフに使用される鋼材

鋼材名 

成分と特性

440C(SUS440C)

カーボン1.0%、クローム17~18%、モリブデン0.45%、シリコンとマンガン1%、リン0.4%。
アメリカで開発されたステンレス鋼。
クロームの含有量が高くナイフに使われる鋼材としてはもっとも錆に強い鋼材。
耐摩耗性と粘り強さが高く、刃持ちも良くバランスの良い最も多く使われるナイフ用鋼材。
炭素の含有率に応じてA.B.Cのランクに分けられ、最も含有率の高いものが、440Cと呼ばれる。
実用硬度HRC57~59。

440A(SUS440A)

カーボン0.6%、クローム17~18%、モリブデン0.4%。愛知製鋼のステンレス鋼。
錆に強く包丁・ダイバーナイフ等に使用。実用硬度HRC57~59。

AUS・8(8A

カーボン0.8%、クローム13~14%、モリブデン0.25%、バナジューム0.1~0.3%。
愛知製鋼が開発したステンレス鋼。440B鋼に近い組成性質を持っている。
クローム成分の含有率がやや低いが、研ぎ易く扱いやすい鋼材としてファクトリーナイフに広く使用されている。実用硬度56~59。

ATS-34

カーボン0.97%、14~14.5%、モリブデン4.0%。
154CM鋼にアルミニウムや銅を少量加えたもので日立金属が開発した優秀な特殊ステンレス鋼。
154CMよりも耐熱性・耐腐食性が更に向上し、強固なナイフが作れるとして世界ブランドを確立した。
仕上がりの良さ耐摩耗性と粘り強さが高いが、加工性は低く量産に向かない上に素材自体も高価である事から、高級ナイフ素材の代名詞としてカスタムナイフメーカーでは主流。
ファクトリーナイフメーカーではハイグレード品に採用している。
実用硬度HRC60~61。

154CM

クロム14~14.5%、シリコン0.3%、マンガン0.5%、モリブデン4%。
ジェットエンジンのベアリング部分用に開発された米クルーシブル社の商品名。
耐熱性・耐磨耗性が高く腐食耐性も440Cに次ぎ、一時はアメリカナイフの主流。
ナイフ用としてレベルは高く高価なカスタムナイフに使われるが、加工性が劣り現在はほとんど使われない。実用硬度HRC60~61。

S30V

アメリカで開発されたステンレス鋼。耐腐食性が高い。
実用硬度58~60。

N690

オーストリアで開発されたステンレス鋼。440C鋼に近い組成性質を持っている。
耐摩耗性と粘り強さが高くて刃持ちも良く、耐腐食性も高い。
実用硬度HRC57~59。

12C27
スウェーデンのサンドビック社で開発されたステンレス鋼。カーボン0.6%、クローム13.5% マンガン0.4% 珪素0.4%実用硬度HRC54。

X15 T.N

ジェットエンジンのベアリング部品用と医療用のメスにフランスで開発されたステンレス鋼。
刃持ちも耐腐食性も高くて維持管理が簡単。実用硬度58~60。

M.V.S-8

Mはモリブデン、Vはバナジュウムで0.02%~0.03%含有、8はカーボン含有を意味する表示。
即ち、ステンレス鋼材にカーボン0.8%、他にモリブデン・バナジュームを含有された鋼材。

V金1号 VG-1
V金2号 VG-2
V金5号 VG-5
V金7号 VG-7
V金8号 VG-8
V金10号 VG-10
V金特 VG-S

武生鋼材の13クローム系ステンレス鋼。
V金1号は炭素量0.95~1.05%クローム13~15%の高炭素モリブデンステンレル刃物鋼。実用硬度HRC58~61
V金2号は炭素量0.6~0.7%クローム13~15%の中炭素モリブデンステンレル刃物鋼。実用硬度HRC56~58
V金5号は炭素量0.7~0.8%クローム13~15%でモリブデンとバナジュウムの相乗効果で炭化物を微細化した刃物鋼。実用硬度HRC57~59
V金7号とV金8号は炭素量0.85~1.05%クローム13~15%でタングステンを添加して素地の強化と焼戻し性の効果を高めたステンレル刃物鋼。実用硬度HRC57~61
V金10号は炭素量0.95~1.05%クローム14.5~15.5%でコバルトを添加して素地の強化と研削性を高めたステンレル刃物鋼。実用硬度HRC57~60
他にV金特があり、炭素量0.95~1.2%でクローム16~18%のクロームを添加して耐食性を改良したモリブデンステンレル刃物鋼。実用硬度HRC57~59

ハイス鋼
(高速度工具鋼)

ハイスピード鋼と呼ばれドリルなどの金属加工に使用。
高い硬度と対磨耗性を持つ高級鋼材だが、クロームの含有量が4%と低くて錆に弱くステンレス鋼のカテゴリーには属さない。実用硬度HRC61~63

D2
(JIS SDK-11)

シリコン0.45%、マンガン0.35%、バナジウム0.9%、モリブデン0.8%。 炭素鋼。
刃持ちが良く耐熱性が高いので(摂氏430度まで)、タップやダイスなどの金属加工用の刃物材に使用。
耐磨耗性にすぐれかつ粘り強く刃物としての強度は優れている反面、耐腐食性が弱い。
アメリカの一流カスタムナイフメーカーに利用者が多い。実用硬度HRC60.

ダマスカス鋼

二種類の金属を重ね合わせ、折り返しや切り重ねを何回も繰り返して積層させる作る鍛造鋼。完成時には、数多くの金属層が形成され、独特の美しい波状の縞模様が現れる。カーボン鋼とステンレス鋼があり、伝統的な素材のカーボン鋼は切れ味は良いが手入れが必要、新素材のステンレス鋼は波状の縞模様が永く持続するが切れ味はカーボン鋼よりやや劣る。

青紙2号

カーボン1.1~1.2%、マンガン0.2~0.3%、クローム0.2~0.5%、タングステン1.0~1.5 %。
日立金属の炭素鋼でサビ易いが切れ味は良い。古来の日本の和包丁などに多く使用された。

青紙スーパー

カーボン1.45%、クローム0.47%、モリブデン0.41%、バナジュウム0.36%。
日立金属が開発した優秀なハイカーボン鋼。
耐久性に富んでいるがハイカーボン鋼のため鍛造時点の温度管理が大変むずかしい。
刃物鋼としては最高級のレベル。

銀紙1号

カーボン0.8%、クローム15~17%、タングステン0.4%。
日立安来鋼銀紙1号の略。13クローム系ステンレス鋼で、カーボン系の高炭素鋼にクロームを含有させた新しい鋼材。
ステンレス系刃物鋼では、サビに強く切れ味も安定している。

9Cr13CoMoV

中国で開発されたステンレス鋼。コバルトの添加を高めて刃持ちの良く、耐腐食性も高い。
実用硬度58~60。

8Cr14MoV

中国で開発されたステンレス鋼。AUS・8(8A)鋼に近い組成性質を持っている。
実用硬度56~58。

3Cr13
中国で開発されたステンレス鋼。実用硬度54~56。
1.4116
カーボン0.5%、クローム14.5%、マンガン0.4%, モリブデン0.6%, ,バナジュウム0.1%実用硬度55~57。

420(SUS420J2)

カーボン0.4%、クローム12~14%、ニッケル0.4%。
刃物用に開発された13クロームステンレス鋼材で、一般的に一番多く使用されている。
実用硬度HRC54~56。

SUS316

カーボン0.08%、クローム16~18%、ニッケル10~14%モリブデン2~3% ナイフのハンドル部分に使われる鋼材で、耐食性と耐孔食性をSUS304よりさらに向上させたステンレス鋼で高級なナイフに使用されています。
Cowry Y
カウリ Y
カーボン1.2%、クローム14.5%、モリブデン3%, ,バナジュウム1% ニオビウム0.3%
大同特殊鋼が開発したガス粉末状熱平衡加圧製法の新しい刃物用粉末冶金鋼材で、高い硬度と共に鋭い刃先維持能力があり、すぐれた鏡面仕上げと輝きが得られ耐摩耗性に優れています。
カウリ Yはステンレス鋼で腐食性は440Cより勝っています。 実用硬度HRC62~64。
Cowry X
カウリ X
カーボン3%、クローム20%、モリブデン1%, ,バナジュウム0.3%
大同特殊鋼が開発したガス粉末状熱平衡加圧製法の新しい刃物用粉末冶金鋼材で、高い硬度と共に鋭い刃先維持能力があり、すぐれた鏡面仕上げと輝きが得られ耐摩耗性に優れています。
カウリ Xはカーン鋼で硬度はハイスピード鋼に匹敵します。 実用硬度HRC66~68。
LV-04
カーボン0.9%、クローム18%、マンガン0.7% モリブデン1.15% バナジウム0.1% ボブ・ラブレスがシースナイフを作るにあたって希望した良いブレード材料が無かったのでLV-04が開発されました。 
モリブデンとバナジウムを加えて柔軟性を加え、優れた切削性と耐食性に優れ特別に作られたハイカーボン材です。 ボブ・ラブレスに敬意を表してLV-04と名前が付けられました。
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